電波青年

自分がいかにも壊れてきたな、ってエピソード1.

ウチの近くに有名ケチャップ会社の工場があって、その近くは夜になると真っ暗だわ工場の排気音がやたら響きまくるわって感じで歩行者なんぞ通ることもないって通りなのです。

僕はその夜しこたま酔っぱらってちっと冷まして帰ろうって事で歩いてたのですが、何となくコンビニで買い物したくなって家に向かう街灯で明るい駅前の通りじゃなくってそっちの道に足を向けたのです。

で、出くわしたのが青白い火の玉でも白い着物に長い髪の女でもなくって腹の底から楽しげな笑い声なわけですよ。何が恐いって実害がないオバケよりも気狂いに刃物とかそっち方面ですから、とりあえず崖っぷちのガードレールを背にしてどっから襲われても返り討ちにしてやろうと構えてみました。

しかしながらそれらは全くもって無駄な努力でしかありませんでした。その声は僕の真後ろ、つまるところ空中から聞こえていたのです。

いっくら飲んでるとは言え、粉も草も喰らってないのに幻聴とはいよいよオシマイだな、そう思うとなんだか切なくて涙が出てきて(この妙な感情の起伏も病んだ感じですが)、結局コンビニにも寄らずに帰宅しました。

そして後日談。友人とその工場の近くを車で通った時、「ここってさぁ、昔首切り場だったんだって〜 いきなり床に血だまりとかできててもケチャップ作ってる人なら気づかないかもね〜」なんて言われてひとつの可能性が浮上してきました。

かつての城下町の範囲からちょっとはみ出した利根川近辺。振り返りさえすれば貴重な心霊体験のチャンスだったかもしれないのに変な被害妄想がもとで泣きながら歩き去ったバカ野郎がいます。
気をつけよう 暗い夜道と パラノイア